建設現場で確認したい制度には、足場の構造や点検、労働時間、資材価格が変動したときの契約、安全衛生の対象者などがあります。改正の対象と施行時期を分けて整理すると、資材の仕様だけでなく、使用時の管理や契約時の確認点も把握しやすくなります。
足場からの墜落防止措置の強化(令和5年10月1日〜)
厚生労働省の足場からの墜落防止対策の案内で示されている改正は、構造と点検の両面に関わります。令和6年4月1日から、幅が1メートル以上の箇所で足場を使う場合は、原則として本足場を使用する必要があります。幅が1メートル未満でも、可能な限り本足場を使用するよう案内されています。
令和5年10月1日からの点検に関する改正では、事業者又は注文者が足場を点検する際に、あらかじめ点検者を指名する必要があります。つり足場も対象です。また、組立て、一部解体又は一部変更の後の点検では、指名した点検者の氏名を記録・保存しなければなりません。構造に関する原則と、誰が点検し記録を残すかという手続を、それぞれ確認してください。
建設業への時間外労働の上限規制の適用(令和6年4月〜)
厚生労働省の時間外労働の上限規制の説明によると、工作物の建設の事業への適用は5年間猶予され、令和6(2024)年4月から始まりました。時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間です。
臨時的な特別の事情がある場合も、時間外労働は年720時間以内、限度時間を超えて延長できるのは年6か月までです。休日労働を含む時間には、単月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内という上限もあります。災害時の復旧及び復興の事業に適用されないのは、この単月100時間未満と複数月平均80時間以内の規制です。災害対応というだけで上限規制全体が除外されるわけではありません。
第三次・担い手3法と資材価格の転嫁
令和6年に成立した第三次・担い手3法は、建設業法と、公共工事の入札・契約の適正化や品質確保に関する法律を一体として改正したものです。担い手確保、生産性向上、地域における対応力の強化を目的としています。
国土交通省の資材価格の高騰時の価格転嫁に関する説明では、高騰に伴う請負代金等の変更方法を、契約書の法定記載事項として明確にしています。受注者が高騰のおそれを認識している場合は、注文者への「おそれ情報」の通知義務があります。高騰等が顕在化した場合、事前に通知した受注者は変更協議を求めることができ、注文者には誠実に協議に応ずる努力義務があります。公共工事の発注者には、協議に応ずる義務があります。変更方法の事前合意、情報の通知、その後の協議という流れで確認すると整理しやすくなります。
職場における熱中症対策の強化(2025年)
厚生労働省の職場での熱中症に関する資料では、2025年の死傷者数は1,803人で、2005年の統計開始以降最多でした。死傷者数は、死亡者と休業4日以上の業務上疾病者を合わせた数です。死亡者数は19人、建設業では死傷者数292人、死亡者数5人でした。
2025年の労働安全衛生規則改正により、熱中症のおそれのある作業を行う事業者には、報告体制の整備や手順の作成等が義務付けられています。同年の死傷者の約72%は7月又は8月に発生しています。統計を見る際は、死亡者数と死傷者数、全産業と建設業の範囲を区別して確認してください。
労働安全衛生法の改正と個人事業者等(令和7年法律第33号)
厚生労働省の労働安全衛生法改正の案内によると、令和7年5月14日に公布された改正法では、労働者と同じ場所で働く個人事業者等を、法による保護の対象及び義務の主体として位置づけています。注文者等や個人事業者等自身が講ずべき措置も定められています。
関連する政令・省令等の施行は、令和8年1月1日、4月1日、10月1日、令和9年1月1日、4月1日と段階的に示されています。令和8年1月1日施行分には、車両系建設機械と高所作業車の告示が含まれます。改正法の公布日と各措置の施行日を分け、確認したい事項がどの段階に当たるかを公表資料で確かめてください。
令和7年の労働災害発生状況
厚生労働省が公表した令和7年の労働災害発生状況では、全産業の死亡者数は700人で過去最少となりました。建設業は214人で、前年より18人、7.8%減少しています。事故の型別で最多の「墜落・転落」は186人ですが、これは全産業の人数です。
第14次労働災害防止計画は令和5年度から令和9年度を対象とし、建設業では令和9年までに令和4年比で死亡災害を15%以上減少させる目標を掲げています。単年の発生状況と、計画が定める比較年・目標年を区別すると、数字の意味を読み取りやすくなります。
最新情報の確認先
法改正の目的や関連制度は、国土交通省の第三次・担い手3法の全体像でも確認できます。暑さ対策に関しては、厚生労働省のクールワークキャンペーンの案内で、JISを満たしたWBGT値(暑さ指数)測定器の普及促進が示されています。各資料を読む際は、対象となる作業や立場、施行時期を照らし合わせて確認してください。